(写真後列左から)旭化成株式会社 パフォーマンスプラスチックス事業部 ザイロン技術開発部 田中雄大様、レオナ事業部 レオナ樹脂技術開発部 部長 三好貴章様、研究・開発本部 XRP開発プロジェクト(千葉駐在) 木村敏彦様、レオナ事業部 レオナ樹脂技術開発部 林優太様、Unipos株式会社 カスタマーサクセス 吉川菜々枝、園部洋奈、執行役員 執行役員 ビジネス本部 フロント部門統括 兼 グループ連携戦略室 室長 岸川京太郎、組織コンサルタント 鍋島大智 総合化学メーカーとして幅広い事業を展開する旭化成株式会社様。その中で、7つの異なる組織が集まる千葉開発センター様では、ザイロン樹脂技術・レオナ樹脂技術の開発やセルロースナノファイバー活用技術の研究などを担っています。同センターは、組織の一体感を醸成し安全文化をより強固なものにするため、Uniposを活用した組織変革に着手。部署間の壁やコミュニケーション不足という課題に対し、「ヒヤリ・ハット報告(STOPカード)」という製造現場に欠かせない活動をUnipos上でオープン化するという独自の手法で解決を図りました。導入後、部署の枠を超えた感謝や称賛が飛び交うようになり、現場の改善活動が自発的に加速するなど、目に見える変化が生まれています。今回は、その変革を主導した三好様、木村様、田中様、林様の4名に、Unipos導入の背景、安全活動と掛け合わせた独自の運用の工夫、そして導入後に見られた組織の変化についてお話を伺いました。導入背景——7つの組織を隔てる「セクショナリズム」を打破し、誰もがフラットに話せる拠点を目指して――まず、Unipos導入前の千葉開発センターがどのような状態だったのか、当時感じられていた課題からお聞かせください。三好様:千葉開発センターは、全体で70〜80名ほどの拠点ですが、中身は開発、品質管理、製造など、業務内容が全く異なる7つの組織が集まっています。仕事が異なることに加え、専門性が高いゆえにセクショナリズムが強い傾向にありましたが、コロナ禍がそれに拍車をかけました。私のようなベテラン世代からすると、隣の部署の若手と話す機会などほぼゼロです。それどころか、隣のデスクに座っている派遣社員の方が、今日一日どんな仕事をして、どんなことに困っているのかさえ把握できていない。同じ拠点で「安全を守ろう」「品質を高めよう」と言い合っていても、実態はバラバラで、どこか違和感を抱えながら活動しているような状態でした。――そのような状況は、実務面、特に皆さんが重視されている「安全」の観点ではどのような影響を与えていたのでしょうか。三好様:部署間の壁があることで、ある部署で見つかった危険箇所やヒヤリ・ハットがその部署内だけで完結してしまい、センター全体で共有されないという問題がありました。田中様:当時は、安全に関する指摘もどこか攻撃的になりかねない雰囲気がありました。本来は全員で守り合うべきものなのに、他部署への指摘にはハードルがあったり、逆に過剰に反応してしまったり。お互いに「フラットに指摘し合える」という理想とは程遠い状態でした。三好様:私が理想としていたのは、「隣の部署の派遣社員の方が、部長である私に対しても当たり前に話しかけられる」ような風通しの良い組織です。そうした理想を描いて解決策を探していた時に、Web検索で偶然見つけたのがUniposでした。最初は半信半疑な部分もありましたが、すでに旭化成の他拠点での支援実績があったことや、Uniposの担当者の方が非常に熱心に伴走してくれたことで、このツールなら私たちの理想とする「風通しの良い組織」を実現できるのではないかという確信に変わっていき、導入を決めました。活用方針——製造業の要「安全活動」をUniposでオープン化――Uniposを導入する際、既存の「STOPカード(作業などで危険を感じた際に提出するヒヤリ・ハットカード)」をUnipos上で運用するというユニークな手法を採られました。このような運用にされた狙いを教えてください。三好様:それが我々の最大の作戦でした。製造業において「安全」は、部署や職種を超えて全員が守るべき唯一無二の共通言語です。業務が異なる、我々千葉開発センターを一つにまとめるワードは「安全」しかないと考えました。以前から、一人あたり月3件、現場で見つけた危険箇所を報告する「STOPカード」という活動自体はありました。しかし、これまではExcelベースの運用で、その報告は基本的に上司のところにしか届きません。他部署でどんな危険があったのかを知るには、わざわざExcelファイルを開きに行くという手間がかかり、情報を確認しづらい状況になっていました。そこで、「STOPカードの提出場所をUniposに変えるといいのではないか」というアイデアに至ったのです。Uniposを使えば、誰でもスマートフォンやPCから簡単にアクセスでき、投稿がタイムラインとして全員の目に触れる。それと同時に、投稿形式を「日時・場所・危険だと感じたことだけ書く」というシンプルなものにすることで、ハードルを下げる工夫も行いました。田中様:具体的には、Unipos上に個人個人のアカウントとは別に「STOPアカウント」というものを1つ作り、そのアカウントを宛先として投稿してもらう、という運用をしています。この方式を取ることで、全員が全員の投稿を気軽に網羅的に見ることができるようになったので、STOPカードに挙げられた事象を見る人の数が圧倒的に増えました。活用の工夫——「うるさい若手」を中心に事務局を組成。現場に寄り添う多角的な仕掛けを実施――導入にあたり、事務局を組成されたとのことですが、メンバーはどのように選ばれたのでしょうか。三好様:各組織のトップに「とにかく元気で、うるさい若手を出してほしい」と依頼しました。文化を変えるのは、じっと座っている人ではなく、周囲を巻き込んで発信できる若いエネルギーだと思ったからです。田中様:私はまさに「うるさいから」選ばれました(笑)。泥臭く組織を動かしていくことは嫌いではなく、自分たちの環境を自分たちで良くできるならやってやろう、という前向きな気持ちでした。木村様:私は前任者の交代で急遽加わりましたが、組織の中間に位置する年齢層として、上下のパイプ役になれるのではないかと考え、前向きに引き受けました。――運用を定着させるため、どのような工夫をされたのでしょうか。三好様:初期の頃は、意図的に様々な仕掛けをしました。特に管理職の方には直接声をかけ、積極的な投稿をお願いしました。最初の数ヶ月は、とにかく投稿が止まらない状態をつくることを重視し、事務局メンバーも含めてかなり意識的に動いてもらいましたね。木村様:私の部署では当初、利用率がかなり低い状況が続いていました。ヒアリングなどの結果、その原因はオープンな場で発信することへの心理的ハードルの高さだと分かりました。そこで上司と連携し、まず「立派な内容じゃなくていい。まずは身近なことへの『感謝』を1回書いてみよう」というメッセージを発信することにしました。加えて投稿が少ない人が投稿してくれたら、私や上司がその投稿に対してすぐにコメントの投稿をする、というアクションも行いました。その積み重ねの結果、部署全体の雰囲気が変わり始め、投稿数も増えていきました。三好様:さらに、「月間ハイライト」(月に一度、全組織の中で特に注目された投稿をまとめてご紹介するコンテンツ)を紙に印刷して、コピー機の横に掲示しています。必ず立ち止まるコピー機の横に掲示することで、印刷待ちの数分間という“手持ち無沙汰な時間”に、自然と目を向けてもらえるよう工夫しています。 実際に、立ち止まってそれを見ている社員の姿をよく見かけますね。――モチベーションを維持するために、評価や表彰についても工夫されているそうですね。三好様:3ヶ月ごとに「投稿数」「拍手数」「拍手された数」を軸にした表彰を行っています。定期的にスポットライトが当たることが、継続的なモチベーションにつながっていると感じます。林様:当初、集計は大変だろうと思っていましたが、Unipos社に方法を教わり、驚くほど簡単に、かつ詳細なデータまで集計できることが分かりました。おかげで事務局の負担もほとんどなく、独自の表彰制度を運用できています。田中様:それから、Unipos上で見られる「投稿数ランキング」も良い刺激になっています。 私自身、頻繁にランキングをチェックしており、「トップ10入り」を目標に、日々活用しています。変化①——月の投稿数は約1,000件。投稿のモチベーションが「ポイント」から「感謝」へ。――現在、月にどのくらいの投稿数が生まれているのでしょうか。三好様:当センターは約70名の組織で、ルール上は1人月3件、合計約200件程度の投稿があればノルマは達成される計算になります。しかし現在、Unipos上の平均投稿数は月間1,000件に達しています。つまり、義務としての200件に加え、残りの800件は「STOPカードへの返信」や「日常的な感謝・称賛」の投稿が行われているのです。三好様: 今では、「旭化成」という自社の名前を除けば、社内で最も頻繁に登場する固有名詞は、間違いなく「Unipos」だと思います。――導入初期から現在にかけて、活用への意識も変化しているのでしょうか。田中様:導入初期の活性化には、ポイントの仕組みが非常に有効でした。ポイントは持っているだけでは意味がなく、使い切るためには、自分から発信したり、誰かの投稿を見てコメントの投稿をしたりする必要があります。さらに、Uniposのポイントは1週間でリセットされてしまうので、「使いきりたい」と思う気持ちが働きます。その気持ちが行動のきっかけとなり、利用につながる。そのサイクルを続けていくうちに、Uniposを見ること自体が組織全体で習慣化していったと思います。林様:しかし、今ではポイントがメインではなく、Uniposの活用そのものが「癖」になって、自走する状態に変わっています。以前のSTOP活動は、いわば「あげっぱなし」の状態でした。自分が危険箇所を報告しても、特にフィードバックがあるわけではない。本当によほど危険な事象であれば議論になりますが、基本的には自分の投稿に対して誰かがリアクションをくれることなんて、まずありませんでした。でも、Uniposなら、自分が投稿したことに対して、別の部署のメンバーがリアクションをくれる。リアクションがもらえる嬉しさはもちろん、「少なくとも組織の中で、自分以外にも同じ課題を感じている人が複数いる」という事実の可視化にもつながります。「自分だけが気にしていたわけじゃないんだ」と分かれば、「じゃあ、みんなで解決しよう」という具体的な改善の議論に自然と繋がります。これまでのSTOP活動が「一方向の発信」だったのに対し、第三者のリアクションが見える「会話型」の活動へと進化したことが、非常に大きいと思っています。ポイントを使い切りたいという気持ちももちろんありますが、それよりも、「この投稿に対して、誰かが何か思ってくれるかな」「誰か共感してくれるかな」という方向に意識が向いています。田中様:今では、これまで距離を感じていた他部署のベテラン社員から思わぬリアクションが届くようにもなっています。モチベーションという意味では、週間ダイジェスト(毎週、組織の中で起きた出来事を、ダイジェストとして自動でピックアップする機能)に掲載されることも大きいですね。そこに選ばれるような投稿をしたいと思って、利用しています。 三好様:義務である、月に3件のSTOPカードをUniposと紐付けたことで、アクセス率は100%になっています。投稿する際に、必ず他部署の仲間の発信が目に入ることも、安全を守るための目的とマッチしていると思います。STOPカードの内容にもポジティブな変化が起こっています。これまでは「ここが危ないです」という指摘だけで終わっていたものが、「危ないと思ったので、こうしておきました」という改善の報告へと進化しており、その変化は派遣社員の方にも及んでいるのです。指摘だけだと周囲も称賛しにくいのですが、「改善した」という投稿に対しては、「ありがとう」「助かったよ」という感謝のコメントが送りやすい。「ありがとう」と言われて嬉しくない人はいません。林様:これまでもSTOP活動をやりながらみんな「ありがとう」を待っていたのだと思います。(後編につづく)※後編では、Unipos活用後のさらなる変化や今後の展望についてお話を伺います。併せてぜひご覧ください。