女性のライフステージに寄り添う製品を提供する、女性医療領域に特化した製薬企業である富士製薬工業。製薬業界ならではの課題を克服し、心理的安全性が高く女性が活躍できる組織を目指して、カルチャー変革に取り組んでいます。取り組みを進める中でUniposをどのように活用されているのか、富士製薬工業株式会社 経営管理部長 宇治浩様、経営管理部 well-being&エンゲージメント向上チーム 田賀夏海様、経営管理部 経理課 菅原千代様にお話を伺いました。女性活躍の推進と製薬業界ならではの課題解決のためにカルチャー変革をスタート―カルチャー変革に取り組む前に抱えられていた組織課題を教えてください。宇治様:本格的にカルチャー変革に取り組むことになったきっかけは2つあります。1つ目は、女性活躍の重要性の高まりです。2024年の経産省レポートでは、女性の月経随伴症に伴う経済損失が6,000億、更年期による経済損失が1兆9,000億円あると発表されています。そうした状況を踏まえ、国の方針でも「女性の活躍なくして日本企業の発展はない」と言われるほど、女性活躍に対して強い要請があります。加えて、弊社は女性向けの医薬品を中心に扱っているため、まずは自社から女性がより活躍できる環境整備を進める必要がありました。2つ目は、製薬会社特有の構造による課題です。製薬会社は、営業・研究・本社・製造と様々な部署が存在していますが、それぞれ専門性が高く、簡単に部門を超えた人の異動ができません。そのため、お互いの仕事内容が分からず、組織が縦割り化しがちです。特に弊社では、工場や研究センターは富山、本社は東京、営業は全国各地、と所在地もバラバラで、部門を超えたコミュニケーションが生まれづらい状況でした。ここを変えないと、強い組織をつくれないという課題感を持っていました。また、製薬業ではGMPという医薬品等の製造管理および品質管理に関する基準があり、GMPを守ることが業務において最優先。安全な医薬品を作るためにはこの基準を満たした手順書どおりに仕事をすることが必須であり、現場が「こちらの方が効率的だから変えよう」と判断して動くことはできません。そのため「言われた通りにやる」ことが最優先になり、保守的かつ新しい挑戦が生まれづらい環境にありました。一方、安全な製品を製造するためには、間違っているときには「間違っている」と声をあげられる文化も非常に重要です。挑戦できる組織とスピークアップ文化、どちらも土台は「心理的安全性」であり、これを高めたい、と考えたことがもう一つのきっかけです。―女性活躍推進と製薬業ならではの課題解決のために始められたカルチャー変革ですが、目指すべき組織・ゴールをどのように考えられていましたか。宇治様:弊社ではもともと経営理念をとても大切にしており、トップも繰り返し「経営理念に立ち返って考えよう」と発信しています。弊社の特徴的な理念に「富士製薬工業の成長は、わたしたちの成長に正比例する」があります。「従業員一人一人の成長と貢献をうまく循環させて、従業員同士がお互いに高め合い、社員が成長した先に富士製薬工業としての成長がある」という意味なのですが、この経営理念が、従業員に浸透し、きちんと実現・実践できることがゴールであると考えています。これが実践できると、企業としての成長はもちろん、従業員の「富士製薬工業で働いて良かった」という実感にも繋がると捉えています。―カルチャーは直接目に見えないからこそ、後回しになりがちな企業も多いです。そんな中、富士製薬工業様はなぜカルチャーに投資を決められたのでしょうか。宇治様:現代は、個人が尊重される時代です。また、今まで通りに言われたことをやるという時代ではなく、上司も部下も同じ情報にアクセスできるようになるなかで「誰かがやってくれる」ではなく、一人一人が「富士製薬工業をより良くしていくにはどうすればいいのか」考え、挑戦してやってみる、それが「仕事が楽しい」ということに繋がると考えていることが大きな背景です。カルチャー変革を通じて、「自分たちで会社を変えていけるのだ」という想いを持てる人を増やしていきたいと考えています。そうした風土をつくる上で一番大切なのは、お互いの信頼関係です。その信頼の土台となるのは、感謝し合える間柄であることだと捉えています。Uniposは、感謝を伝えて信頼関係の土台をつくるツールとして、カルチャー変革の要に位置付けています。心理的安全性・エンゲージメントのスコアが軒並み向上。営業成績にも効果が―カルチャー変革のお取り組みの結果、どのような変化を実感されていますか。宇治様:毎年実施している心理的安全性調査で、2024年は前年と比較して心理的安全性の4つの因子すべての項目が向上しました。特に「話しやすさ」が高い数値となり、全国平均を上回る結果になりました。あわせて「挑戦」の数値も高まってきています。取り組みを進めて挑戦できる文化が根付けば、製薬メーカーとして新しい製品の開発が進み、患者さんにより貢献できるチャンスが広がります。また、エンゲージメント調査も前年と比較して多くの項目が改善されています。「組織風土が変わってきている」「自分の会社で働くことに誇りを持っている」の項目が大きく伸びていることは大変嬉しい変化ですね。宇治様:組織の変化は、業績にも好影響を与えています。エンゲージメントスコアや心理的安全性スコアが高い支店ほど、営業の売り上げ達成率が高い、という相関がみられたのです。一般的に、エンゲージメントが高く雰囲気がよい職場は成果を出しやすいといいますが、それが実際にしっかり数値と目に見える形になりました。宇治様:もともと低かった離職率ですが、Unipos導入前に比較すると直近はさらに下がってきており、ここにも成果が現れていると感じています。―定性的な変化はいかがですか。宇治様:若手や女性社員も含めて「自分の意見を発信していいのだ」という意識が徐々に広がっています。Uniposを通じて、「人と人が出会って、協力して、仕事が成り立っている」ということを改めて一人一人が実感し始めているのではないかと思います。製薬業にありがちな課題に、営業と工場との対立があります。例えば、工場で製造トラブルがあって出荷が遅れたり、逆に予想よりも売上が好調で製造量よりも注文数が多くなったりした際、営業は「もっと売りたいのに工場は何をやっているんだ」と考えがちです。過去に連続して製品回収が起こった時期は、工場を責めるような雰囲気になってしまっていました。そんなときUniposがあると、例えば工場のラインで働く方たちが休日出勤をしている様子が見えてきます。すると「工場でも一生懸命やっているんだ」と実感できるようになります。Uniposがきっかけとなり「みんながそれぞれの役割を果たして、患者さんへ製品が届いている」と従業員が実感し始めたのではないか、と思います。▲工場で働くメンバーの様子が全社に共有されたUnipos▲工場から経営管理部へ部署を超えて送られたUnipos田賀様: Uniposをもらうことで「この会社で働いていてよかった」と思うという声はよく聞きますね。例えば中途の社員が積極的に使ってくれ、「一見怖そうだけどこういう一面があるんだ」と新たな一面を知るきっかけにもなっています。また、同期が各拠点にバラバラになってしまいなかなか会うことができない中、同期の情報が得られる唯一の手段にもなっていますね。ーUniposをご活用いただく中で、印象深いエピソードはありますか。田賀様:Uniposは、全社の共通言語になるくらい浸透しています。Uniposがあったからこそ生まれた接点もあります。例えば、様々な拠点・部署でUniposに関連した表彰式を行っているのですが、それをきっかけとして、もともと接点の薄かった営業と本社の間にコミュニケーションが生まれました。また、表彰制度を絡めて活用することで、Unipos以外の場でも感謝・貢献・挑戦を可視化して称賛し合う行動が増えています。宇治様:実は、表彰は推進チームが自発的に始めてくれた取り組みです。その様子を社内に共有するところまで積極的にやってくれていますね。田賀様: Uniposの推進チーム自体も行動が変わってきたと感じています。ボトムアップからの取り組みなので、一人一人がやらされ感なく楽しんでいます。管理職が推進チームの運営を否定せず「やってみよう」という姿勢でいてくれることも、楽しんで自発的に行動できるいい空気に繋がっていると思いますね。ツールの枠を超え、カルチャー変革に本気で向き合うUnipos社の支援―弊社とのやり取りの中で印象に残っていることはありますか。宇治様:導入時は「こんなに頼っていいのか」と思うくらいUnipos社のカスタマーサクセスの方にお世話になりました。基本的な活用方法だけでなく、どうすれば本来の目的に即して使ってもらえるのかも含めて、他のツールでは考えられないほど支援いただきました。このサポートがあったからこそ、今の浸透・活用に繋がっていると思います。―特にどういう点でお力添えできたか具体的に教えていただけますでしょうか。宇治様:まず、導入検討の時点では、「心理的安全性」と言う言葉が今ほど浸透しておらず、社内では「心理的安全性=ぬるい職場」という誤解がありました。そこで、Unipos社に依頼して役員向けの説明会を開催していただきました。説明会を通じて、弊社の経営理念にある「社員を大切にする」という考えにマッチする概念である、という共通認識を生むことができました。また、導入時に担当いただいたカスタマーサクセスの方には「寝食を共にする」くらい相談しながら進めさせていただきました。導入にあたっては、Unipos社の協力のもと社員向け説明会を実施したのですが、「このツールは必要なのか」という声が一部から出ました。それに対して、推進チームメンバーも不安になることもありましたが、カスタマーサクセスの方に他社事例を交えて今後の道筋をご提案いただき、心強かったです。―導入後から現在に至るサポートについてはいかがでしょうか。宇治様:導入当初だけでなく、今も変わらずサポートいただいています。現在の担当であるカスタマーサクセスの吉川さん・亀井さんには、社内セミナーや研修の講師もしていただいています。田賀様:カルチャー変革に対して、Uniposの枠を超えて本気で向き合ってくれていると強く実感しています。ツールを超えて「本当にどうやったら弊社のカルチャーが良くなるか」と考えてくださっています。これから私の後任を菅原が担当するのですが、Unipos運営には伝えきれないくらいのノウハウがあるため、全てを伝えきることは難しいです。でも「全部覚えなくていいから、何かあったらUniposの方に聞いてね」と言えるくらい、Unipos社の伴走体制は素晴らしいです。「私よりUniposの亀井さんに聞いてもらった方がいい」と思うほど、本当によく調べて弊社の課題を掴んでくれていますね。菅原様:Unipos社は、こちらが何かお願いする前に動いてくださることが多いです。私は引き継いだばかりですが、既に信頼感があり「何かあればUniposのカスタマーサクセスの方に聞こう」と思っています。宇治様:Unipos社が開催しているイベントも活用しています。内容はもちろん、カルチャー変革に取り組む他社の方との交流もできるので、とても良い機会になっています。カルチャー変革に王道や近道はない―カルチャー変革を推進しての気づきや、今後のお取り組みについて意気込みを教えてください。田賀様:組織づくりには正解がないという前提のもと、色々考えて実行するのは熱意と根気が必要でした。「カルチャー変革に王道や近道はない」と感じているので、試行錯誤しながら取り組みたいと思います。宇治様:カルチャー変革も人間関係も、難しく考えずシンプルに捉えることが大切だと思います。また、新しいチャレンジに失敗はつきものですが、それが後々活きるのであれば、それはもはや失敗ではないと考えています。社内の抵抗勢力が障壁になることもあるかもしれませんが、意外と自分自身でブレーキをかけてしまっていることも多い。「最大のライバルは自分自身」なので、これからも自分に負けないようにカルチャー変革に挑み続けたいですね。▲カル本アワード2023授賞式の様子:「ベストカルチャー変革賞」を受賞