都内を中心に宿泊特化型ホテル「京急EXイン・京急EXホテル」を15店舗運営する株式会社京急イーエックスイン。同社はコロナ禍の影響を大きく受け、一時は退職者が後を絶たないなど、慢性的な人手不足に悩まされていました。そんな状況を打破し、今いる従業員が「働きやすい」「楽しい」と思える会社づくりを目指して導入されたのが、ピアボーナス®Uniposです。導入当初は現場からの懸念もあったものの、人事による地道な働きかけや現場の口コミにより、今では自然と感謝が循環する組織へと変貌を遂げています。その結果、離職率の劇的な改善だけでなく、複数店舗展開・シフト制というホテル業特有の「コミュニケーションの壁」を越えたナレッジ共有やサービス品質の向上という、事業成長に直結する効果を生み出しています。本社の管理部人事担当である白川様、東田様と、東銀座店舗の支配人である袁様、店舗スタッフの酒井様に、導入の背景から現場での定着の工夫、そして組織にもたらされた変化についてお話を伺いました。導入背景——コロナ禍の影響を受けた人手不足と、見えない「他店舗・本社」への不満―― まずは、Unipos導入前の2023年頃に抱えていた組織の課題と、導入のきっかけを教えてください。白川様:ホテル業界全体がそうだったように、2020年からのコロナ禍の影響を大きく受け、人手不足が慢性化していました。 採用担当として一生懸命採用活動を頑張る一方で、「今いる従業員をちゃんと大事にしていきたい」「働きやすい、この会社楽しいなと思える会社づくりを並行して行わなければいけない」という強い危機感を持っていました。 というのも、2021年3月に品川再開発に伴い、弊社が運営する中で一番大きな店舗が閉館して従業員が各ホテルに配属されるタイミングなどで辞めていく方が多くいらっしゃいました。全従業員が200名規模の会社でありながら、深刻な人数の退職者が出てしまうという危機的な状況だったのです。東田様:また、コロナ禍以前には会社独自のインセンティブ制度がありました。1日の店舗予算(売上目標)を達成すると1人あたり1日500円が支給されるというものですが、それがコロナ禍で一時休止となっていました。 言葉にはしなくても、現場にはきっと「毎日こんなに頑張っているのに」という気持ちがあったのではないかと思います。白川様:実は私自身も、2023年に本社へ異動するまでの10年間、店舗でフロント業務をしていました。店舗にいると本社が何をしているのか全く見えず、「どうせ暇しているんでしょ」と思ってしまっていたこともありました(笑)当時は他店舗の情報を知るすべがほとんどなく、各店舗が独立していて別会社のような感覚でした。そのため会社全体が見えないことに対する不満は多くの従業員が感じていたはずです。そんな中、経理部長が以前店舗で実施して好評だった手書きの「サンクスノート」を、機械化・システム化して可視化できるツールとしてUniposの提案を持ってきてくれました。 日頃みんなが頑張っていることや努力していることを会社全体で「見える化」し、共有することで、一人ひとりのモチベーションを高めてもらいたいと考え、導入を決めました。働きやすさ向上に向けた様々な施策—— ES向上に向けた意見交換会と手厚い新卒フォロー―― Uniposの導入以外にも、離職防止や働きやすさの向上のために取り組まれてきたことはありますか?白川様:昨年(2025年)、従業員満足度(ES)向上のため、各店舗からリーダーを1名ずつ選出し、本社で意見交換会を実施しました。そこでは、会社に対する意見や現場のモチベーションについてまとめてもらい、何か改善できることはないか話し合う機会を設けました。当社は基本的に23時間勤務のシフトのため、給与や勤務体制に対する率直な意見も出ましたが、その中で実際に改善策として全店舗に導入したのがウォーターサーバーの設置です。「23時間勤務のたびに飲み物を持参するのは荷物になり、費用もかかる。」といった現場の声を受け、全15店舗にウォーターサーバーを導入しました。 また、この意見交換の場には経営陣も参加し、直接現場からの質問に回答しました。その結果、「会社がきちんと意見を聞いてくれるんだ」という実感が現場に広がり、従業員からも好評でした。会社が意見を受け入れてくれる土壌があることが伝わったと思います。また、新卒社員への手厚いフォローも行っています。2年前、新卒社員が入社後3ヶ月以内に早期退職してしまったことがあり、人事としても手厚くフォローしていきたいと、2〜3ヶ月に1度は人事が各店舗を訪問し、一人ひとりと直接対話する機会を設けています。あわせて、人事の相談窓口を作り、「どこに相談したらよいかわからない」というような内容でも気軽に問い合わせできるよう体制を整えました。これらの取り組みの結果、前年の新卒社員は早期退職することなくしっかりと定着してくれています。一般的には人事は話しかけづらい存在だと思うのですが、従業員から「人事に一番相談しやすかった」と言ってもらえた時は、そのような存在になれたことに大変嬉しく思いました。活用方針——強制せず「自然に」使ってもらう。スモールスタートと社内報での地道な啓蒙―― Uniposの導入・浸透にあたって、人事担当として工夫されたことはありますか?白川様:当時は私や東田もまだ本社にいなかったのですが、休止していた予算達成手当を復活させるにあたり、他に何かそれに代わるようなアイデアを出してみようということになり、導入の検討を行ったと聞いています。そのため、当初は批判的な意見を持つ支配人も多かったそうです。しかし、経営層が「まずは挑戦してみよう」「目指す組織のために必要じゃないか。金銭が目的ではなく、この取り組み自体に価値がある」と前向きに後押ししてくださったのです。 そこで、まずは本社と2店舗でのパイロット運用から小さくスタートし、その後に全社導入という流れで進めていきました。事務局としては「強制しない」「気軽に自然に使ってもらう」という方針を大切にしています。また、社内名称はパイロット運用の実施後アンケートをもとに「クローバー」と名付けました。「目に留まりにくいものを発見できる」「四つ葉のクローバーのように幸運のイメージがある」といった意見があり、「Uniposのシステムに合っていていいね」と事務局内で決定した名前です。東田様:月に1回「クローバー通信」という社内報も配信しています。 前月の利用状況のデータに加え、新卒社員の紹介や支配人へのインタビュー、新しい機能の紹介などのコンテンツを載せています。 シフト制で働く従業員にとっても負担にならない形で「そういえばUniposあったな」と定期的に思い出してもらうきっかけになればと思っています。現場のリアル—— 「仕事中にやるのか?」からの意識変化と自然な定着―― 袁支配人、酒井様は東銀座の店舗で実際にご活用いただいています。 現場の皆様は、導入当初どのような印象を持たれていましたか?酒井様:当初は「本当に必要なのだろうか?」というマイナスな印象が強かったです。業務の合間にいつ利用すればよいか分からず、また感謝の言葉は直接伝え合っていたため「ここに会社として力をかけるのであれば、もっと他のところに使ってほしい」と感じていたのが正直なところです。袁様:私も、会社全体での取り組みということで「半分強制なのかな」「どこまでみんな活用するのか」「業務の負担になるのではないか」という心配がありました。酒井様:正直に言うと、導入直後の2、3ヶ月は、スマートフォンアプリで使用できることが周知されていなかったこともあり、全く浸透していませんでした。 しかし、貯まったポイントを「Amazonギフト等に交換できる」という実利(ベネフィット)の部分が口コミで広がったんです。 現場で話題になり、実際に自分が使ってみてから、「これ、すごくいいじゃん!」とイメージが大きくポジティブに変わりました。現在では、夜勤の仮眠に行く前や、お客様の対応が落ち着いた休憩時間など、それぞれ無理のないタイミングで私物のスマートフォンから送っています。 仕事で助けてもらった後、休憩に入った時にポチポチと送るのが自然な流れになっています。「休憩時間なのになんで会社のアプリを使わされてるの」と苦痛に思う人はおらず、みんな楽しんで使っている印象です。▲スタッフ同士で送られた投稿袁様:私も実際に使ってみて、全く負担にならないことが分かりました。 頭の中で感謝の言葉を並べるだけでなく、実際にメッセージとして見える化されることや、それがポイントという形で従業員の皆さんにメリットがある形で届けられるのは思った以上に良かったです。私は管理職として、通勤時間などを利用して送っています。 10分、20分と長い文章を考えるのではなく、2〜3行の手軽なメッセージで、3分から5分くらいでパッと送るようにしています。 特定のスタッフに偏らないよう、周りのスタッフ全員の働きを見て、バランスよく送ることも心がけています。変化①—— ポジティブなコミュニケーションが増加し、現場に広がる「感謝の循環」―― Uniposが定着したことで、現場でのコミュニケーションにはどのような変化がありましたか?酒井様:現場ではポジティブなコミュニケーションが増えました。他のメンバーのやり取りを見て「Unipos見たよ、あんなことあったんだね」と相手から話しかけてくれるなど、仕事をしている中で自然とコミュニケーションが生まれています。 こうした「Unipos見たよ」という会話が日常的に出てくるほど、Uniposが現場に良い雰囲気で馴染んでいると感じます。また、Uniposを使っているうちに「この子いつもこういうサポートをしてくれているな」と、メンバーの長所や成長に気づけるようになりました。普段少し控えめなスタッフが、Unipos上だとしっかり文章をしたためてくれるなど、新たな一面が見えたことも良かったです。東銀座店舗のスタッフはもともと丁寧な言葉で感謝を伝える言語化能力の高さがあり、私もすごく刺激を受けています。文章の内容だけでなく、「絵文字の使い方が可愛いな」といった細かい表現も個人的に参考にし、とても勉強になっています。▲普段少し控えめなスタッフから送られた投稿袁様:支配人としてせっかくなら皆さんにポイントを送りたいので、普段なら当たり前として流れてしまうような些細な良い行動に目を向けるようになりました。ある意味で「ネタ探し」をするような注意深い習慣がつき、感謝できるポイントに気付くようになったことで、感謝を伝える頻度自体が増えました。手伝ってもらったことに対して送る、そしてまた後日送られた側がお返しの意味も込めて「先日はありがとう」とポイントを送り返すといった、お互いに返し合う感謝の循環が現場でしっかりと生まれています。また、酒井さんが東銀座店舗に異動してきて、他のスタッフのいいところを見つけて積極的に発信してくれたおかげで、今まであまり投稿していなかったスタッフも「自分もやってみよう」と頻繁に送るようになりました。酒井さんの発信をきっかけにそうしたポジティブなやり取りが伝染し、非常にいい流れに乗れていると感じています。白川様: Uniposは、現場のコミュニケーションや称賛文化の醸成といった土台づくりの役割を担っていると捉えています。日々の現場を直接見ているわけではありませんが、Unipos上でのやり取りから、人事の目線からもスタッフ同士の相互理解が進んでいると感じる場面は多く見受けられます。そのため心理的安全性の向上にも一定程度寄与しているのではないかと認識しています。変化②—— 拠点を越えた繋がりが、ナレッジ共有と「サービス品質の向上」を生む―― 普段直接やり取りすることの少ない店舗同士で繋がりは生まれましたか?白川様:店舗の壁を越えた投稿は今後さらに増やしていきたい部分ではありますが、「分からないことがあって他店舗に電話で聞いた」ことへの感謝や、「ヘルプで他店舗に行った時」のやり取りなど、リアルな繋がりがあった時にはしっかりとポイントを送り合う動きが出てきています。▲店舗同士で送られた投稿―― さらに拠点(店舗)を越えた繋がりが生まれたことで、日々の業務やサービス品質の面ではどのような効果がありましたか?酒井様:例えば、他店舗の投稿で「こういう法律関係の資料を作ってくれてありがとう」というのを見て、別店舗のスタッフから「そんな資料あるの?」と電話で問い合わせが入るなど実際のコミュニケーションに発展するケースがあります。また、「あの店舗でこういうのを導入してるらしいよ、気になるから聞いてみよう」といった会話が自然と生まれるなど、店舗間の関係性の広がりも見られます。さらに、お客様対応のトラブルなどもUnipos上で共有されるので、「こういう事例があったらしいから、うちの店舗でも気をつけようね」と注意喚起になるなど、店舗間での情報共有や業務の学びに繋がっています。単にポジティブな交流にとどまらず、業務の勉強としても非常に良い効果を生んでいると感じています。袁様:本来であれば、よほどのことがない限り他店舗で発生しているトラブルやその対応を知ることはできません。しかしUniposのタイムラインを通じて、「あの店舗でこういうトラブルがあって、みんなでこうやって助け合いながら対応したんだな」と、他店舗の状況を知ることができます。こうした形で他店舗の取り組みや現場のリアルが共有されることは、会社全体としてとても大きなプラスであると感じています。▲ナレッジ共有に繋がった投稿酒井様:異動やヘルプがある会社なので、他の店舗に行ったり来てもらったりする時に「あ、いつもUnipos使っている方ですよね!」と話しかけてもらえることがよくあります。事前にお互いを認知できていることで、初対面でも「いつも見ているよ」という良い雰囲気ができ、他店舗のスタッフとのコミュニケーションがとても円滑になりました。また、私が前の店舗から東銀座に異動してきた際、前の店舗のメンバーから色紙の代わりにUniposでたくさんの長文メッセージをもらったんです。最後の挨拶の場だけでは伝えきれないような感謝の気持ちを、文章として残る形でもらえたことは、私の中ですごく嬉しくて大きな思い出になっています。▲異動時に酒井様へ送られた投稿袁様:他店舗に行った際などに、「いつも拍手してくれて、ありがとうね」と声をかけるなど、コミュニケーションのきっかけ(ネタ)にできるのも良い点です。異動やヘルプがある会社だからこそ、日々のタイムラインでの繋がりが役に立ち、拠点間の距離を縮めてくれていると感じます。変化③—— マネジメントへの好影響と、縮まる「本社と現場の距離」―― マネジメント面や、本社と現場の繋がりについてはいかがでしょうか?袁様:支配人の立場からすると、自分が休みの日に店舗で起きたことや、夜勤での従業員同士の助け合いの様子が把握できるのが非常に大きいです。通知を見て「みんなで対応してくれたんだな」と前日の状況が分かり、次に出勤した時に、報告を受ける前に私から先に「手伝ってくれてありがとう」と先回りして伝えることができています。また、個人的に嬉しかったことは、スタッフの皆さんから感謝のメッセージをもらえたことです。自分としては当たり前だと思ってやっていたことでも、「先日〇〇をやっていただき、ありがとうございます」と送ってもらえると、「現場の皆さんも私のことをちゃんと見てくれているんだな」と感激しました。管理職としては送る側になりがちですが、部下から送ってもらえるのはやはり嬉しく、モチベーションに繋がりますね。▲東銀座店のスタッフ酒井様から袁支配人へ送られた投稿酒井様:自分が送ったメッセージに対して本社の誰かや他店舗の誰かが「拍手」をしてくれることで、現場で日々どんなトラブルと向き合い、どれだけ一生懸命に対応しているかを会社がちゃんと見てくれていると感じられます。「見てもらえていることが分かって嬉しい」という大きな安心材料に繋がっています。▲本社スタッフから店舗スタッフへ送られた投稿白川様:新卒社員へのフォローという観点でも、大きな効果がありました。今年配属された新卒社員には、本社の研修で1時間ほどUniposの使い方を学ぶ時間を設けました。研修に合わせて、各店舗の支配人に「ウェルカムメッセージを送ってくれませんか」とお願いしたところ、実際に多くの支配人が投稿してくれました。また、東田が新卒向けに送ったメッセージには600もの拍手が集まり、その月のMVPに選ばれるほどでした。新しい仲間を迎える全社の「ウェルカムな気持ち」が拍手としてしっかり伝わりました。新卒社員も「こんなに拍手をもらえるなんて」と驚きつつ、とても喜んでいました。▲東田様から新卒社員へ送ったウェルカム投稿白川様:さらに、4月に着任したばかりの新社長のエピソードも印象的です。導入目的や使用方法をすぐに理解くださり、自己紹介の登録やメッセージ送信もスムーズに行ってくれました。そして全店舗の支配人と個別に面談をした際には、一人ひとりに対して「こういう店舗で、こういう頑張りをしてくれてありがとう」とUniposを通じて個別の労いメッセージを送ってくださったのです。▲新社長から袁支配人へ送られた投稿袁様:普段、社長から直接メッセージをもらう機会というのはなかなかありません。「面談で話した内容をちゃんと覚えてくれていたんだな」と感じられて、私自身とても嬉しかったですね。 本社と店舗の距離感を縮めてくれる、素晴らしい出来事でした。変化④—— 称賛文化がもたらした「離職率の大幅改善」と「採用への好影響」―― 拠点や職種・勤務時間を超えてコミュニケーションが活性化し、「称賛する土台」ができたことは、組織の定着率にも良い影響を与えていそうですね。白川様:そうですね、定着率の向上にも少なからず繋がっていると感じています。最も分かりやすい大きな変化で言うと、離職率の大幅な改善です。深刻だったピーク時の退職者数から、昨年(2025年)は大幅に減少しました。Uniposによる「褒め合いの文化」が、従業員が大切にされているという実感を生み、定着に貢献してくれているのだと思います。東田様:採用活動にも良い影響が出ています。新卒採用の会社説明会でUniposの制度を紹介しているのですが、学生さんから「こんな表彰制度があるんだ」と好印象を持ってもらえ、面接時の志望動機に挙げてくれる方もいます。白川様:学生さんがそうして興味を持ってくれることで、「従業員を大切にしている会社なんだな」という安心感や心理的安全性の高さを、社外にも伝えられていると感じています。これから—— 伴走支援への評価と、自然と感謝が循環する組織に向けた展望―― Uniposのカスタマーサクセスの支援についてはいかがでしたか?白川様:導入時の説明会の巧みさはもちろんですが、その後も親身になって伴走してくださっていることに本当に感謝しています。 ツールを入れて終わりではなく、「強制的にこうしなさい」といったアプローチでもなく、当社の風土に合った無理のない提案をしてくださるので、継続して取り組みやすさを感じています。―― ありがとうございます。 最後に、今後の組織の展望についてお聞かせください。東田様:これからもこちらから「使ってほしい」と強制するのではなく、社員一人一人が自然と使いたくなるような環境づくりを大切にしていきたいです。 部署や店舗の垣根を越えて、ちょっとしたことでも気軽にメッセージを送り合える、そんな繋がりがより一層深まっていけば良いなと思っています。白川様:努力の「見える化」は今後も継続して大切にしていきたいです。現在アクセス率は高い水準を維持している一方で、投稿数が落ちてしまう時期もあるため、クローバー通信での発信や新卒への周知など、定着に向けた地道な活動を毎年続けていくことが大切だと考えています。アンバサダーなどを無理に設けることはせず、事務局としても試行錯誤しながら従業員が自然と利用したくなる環境づくりを目指していきたいですね。