株式会社エスアイシステムは、2030年に向けて中期経営計画をスタートし、計画の根幹に「人的資本経営の推進」を据えました。しかし、長年抱えてきた組織課題に対し、表層的な解決策では不十分であるという危機感を持っていました。そこで「人的資本経営の第一歩」として採用したのは、組織の深層にある構造的課題を可視化し、経営層を巻き込んだ合意形成まで一貫して伴走するUnipos社の「組織インサイトサーベイ」です。今回は、事務局となった人事部の田中様・眞田様、さらには太田社長に、プロジェクトの背景や成果についてお話を伺いました。【事務局インタビュー】「真の課題」を特定し、組織の合意形成を支援まずは、「組織インサイトサーベイ」の実施に中心的に携わった事務局の田中様・眞田様にお話を伺いました。見えている症状は氷山の一角。構造的課題へ迫るために実施を決意——「組織インサイトサーベイ」の実施を決めた背景をお聞かせください。田中様:当社では、昨年度(2024年度)までに、従業員アンケートを計3回実施しました。昨年度末に実施した社員アンケートの結果からは、非常に多くの課題が浮き上がり、何から取り組むべきか優先度の検討を進めているところでした。さらに、アンケートの手法そのものにも課題がありました。従来のサーベイは従業員意識調査的なものであり、設問設計や分析まで、すべて自社で内製していました。その結果、「この設問は適切なのか」という疑問や、自分たちで分析してしまうがゆえに主観が入ってしまい、客観性に欠けるという課題が顕在化していたのです。結果的に、課題を正しく分析できているのか不明で、結果を活用できないという状態に陥っていました。眞田様:また、今年度「中期経営計画2030」を策定し、2030年の状態目標の一つである「仕事に誇りを持ち、働き続けたいと思える会社となる」を実現するための基本戦略として「人的資本経営の推進」を掲げました。これを受けて人事部門では、ビジョンの実現に向けた具体的なアクションの検討を開始するとともに、これまで顕在化していた組織課題の解決にも本格的に取り組み始めました。従来の人事施策とは異なる視点が求められる中で、「人的資本経営」という新たなテーマに対し、手探りながらも着実に取り組みを進めている状況でした。このような状況で、まずは従業員アンケートで明らかになった課題である「部門間のコミュニケーション不足」の解消のために称賛し合う組織風土が必要と考え、Unipos社にお声がけしました。打ち合わせの中で、「コミュニケーション不足といった課題は氷山の一角であり、課題の根本原因を解決しない限り、同様の状況が繰り返されるのではないか」という懸念を伝えました。そこで「組織インサイトサーベイ」を紹介いただきました。従来の従業員アンケートで感じていた課題や悩みを担当の高橋さんに共有したところ、私たちが認識している課題は表層的なもので、真に取り組むべきは組織の深層にある構造的な課題であり、まずはそれが何なのか特定することが最優先であると理解し、「当社がまず取り組むべきはここである」と感じました。価値共創パートナーとしてUniposを選んだ理由は「伴走×一気通貫」——Unipos社をパートナーとして決定いただいた決め手はなんだったのでしょうか。田中様:単にサーベイを実施して「結果はこうでした」で終わるのではなく、課題解決に向けて一貫した伴走をしていただける点に、非常に魅力を感じたからです。例えば、当社に合わせたサーベイの設問・対象者の設計をサポートしていただける点や、サーベイ結果をUnipos社のAIとコンサルタントの分析によってまとめていただける点、それを元に当社のプロジェクトメンバーで「課題整理ワークショップ」を行い、重要度・優先度の認識合わせを行った上で課題解決に向かえる点、そして最適な打ち手の案を「提言ミーティング」という形で経営陣に提言いただける点など、一貫して伴走いただける点に魅力を感じました。眞田様:当時は、課題解決に向けた明確なロードマップが存在しない状況でした。サーベイ実施に始まり、ワークショップでの議論の成果をもとに具体的な打ち手を導き出し、経営層へ提言するというプロセスを一気通貫で実施できる点は、当社ではこれまで取り組んでいない新しいアプローチであり、大きな可能性を感じました。田中も私も「今必要なのはこれだ!」と直感的に感じました。当初は、短期間で深層課題の抽出ができるのか、ワークショップや提言ミーティングが充実したものになるのかという不安はありました。しかし、資料の修正依頼など、多くの要望を重ねる中でも、担当の高橋さんがフィードバックを重ねるこのプロセス自体を「価値共創の一環」として前向きに捉えてくださり、「この進め方は素晴らしい」と評価いただけたのが印象的でした。常に当社の課題に寄り添い、共に解決を目指すという熱意を強く感じることができ、まさに「伴走支援」という言葉がふさわしいサポートでした。匿名アンケート結果——平均では見えない“ばらつき”と、課題の文脈を発見——匿名アンケートから明らかになった課題についてお聞かせください。田中様:ある程度仮説は立てていましたが、実際に回答を目にすると、「将来への不安」「意欲阻害」「管理職のスキル不足」といった課題がより具体的に明らかになり、我々がやるべきことの重大さに身が引き締まる思いでした。特に印象的だったのは、部門ごとの特徴が明確に見えたことです。全社共通の傾向だけでなく、部門ごとに異なる課題や強みが浮かび上がり、全社一律の取り組みではなく、部門ごとに最適化した施策を打つ必要性に気づかされました。眞田様:従来の分析では見えてこなかった課題の関連性や、これまで表出していなかった意見が浮かび上がり、大きな驚きがありました。課題を構造的に捉えられたことで、課題に対する理解の解像度が格段に高まり、より本質的にアプローチできる可能性を強く感じました。また、同じ課題であっても、従業員の環境や立場によって、言葉の捉え方や価値観、認識に違いがあることにも気づかされ、組織の多様性を前提とした施策立案の重要性を再認識するきっかけとなりました。従来のアンケートでは記述式ではなく、どうしても平均値に目が行き、回答者の思いやなぜそう思うのかという背景情報が不足していため、記述式であることは大きなポイントだと感じます。ワークショップの成果——様々なセクションの合意形成と協働を加速——課題整理ワークショップではどのような気づきや学びがありましたか。眞田様:ワークショップには、並行して進めていた人事施策プロジェクトのメンバー(20代後半から50代前半までの7名)で臨みました。サーベイで抽出された課題を「重要度」「緊急度」の軸で4領域に分類するワークでは、半年間共通課題を議論してきたチームメンバーとの間では意見が合致するだろうと予想していましたが、実際には回答が大きく異なっていました。価値観や課題の捉え方によって、重要視するポイントや優先順位が変わるという事実に驚きましたね。ワークショップを通じて対話する中で、「ゴール自体は一致しているものの、アプローチの方法やスタート地点が異なるだけ」という認識に至りました。最終的には、2チームで取り組んだワークの結果はほぼ合致しており、考え方の方向性が合致したという実感が湧きました。田中様:このプロセスを通じて、社内の方向性合わせが非常に楽になりました。課題整理ワークショップの進め方や考え方に倣い、「打ち手整理ワークショップ」を人事部門の幹部で実施したのですが、ここでは打ち手を具体的な行動レベルに落とし込み、ゴールやKPIを設定する計画を立案できました。眞田様:課題整理ワークショップの進め方は、考えるべき要素や視点の整理の仕方が明瞭で的確でした。また、Unipos社に紹介いただいた「組織の7S(戦略、構造、システム、スキル、スタッフ、スタイル、共通の価値観)」という観点を、今後の人事戦略においても重視していく予定です。このように、紹介いただいた考え方は、様々なところで活用できていると感じています。田中様:また、最終段階の提言ミーティングでは、当初は社長への報告は人事部門から別の場で行う予定でした。しかし、人伝の場合、どうしてもリアルな情報が損なわれてしまうと考え、急遽、太田社長にも提言ミーティングに参加していただくこととしました。結果的に、社長を含めて実施できたことは非常に良かったです。ワークショップや提言ミーティングを通じて、登場人物が多岐にわたる人物に協力いただき、多様なセクションに所属するものを巻き込んで一つの結果を導いていくプロセスは、今後の風土や施策を浸透させていく上で非常に大事だと感じました。既存施策の盲点を補う、価値あるセカンドオピニオンとしての「組織インサイトサーベイ」——一連のプロセスを踏まえ、「組織インサイトサーベイ」は、どのようなお悩みやフェーズの企業様におすすめしたいと思われますか。田中様:我々のスタートは「人的資本経営の推進」でした。人的資本経営は分かるけれども、「何をしたらいいのか」が分からない、これから本腰を入れてやっていこうという計画がある企業がまず一つです。そして、表面的な問題が起こっているが「なぜその問題が起こっているのか」が分からない——または表面的な問題をクリアにしても根本が解決されず、同じ問題が繰り返し生じてしまうため、「根幹にある課題を明らかにして解決したい」という思いを持つ方々です。また、課題に対して「どういうアプローチをすればいいのか、具体的にどういう打ち手があるのか」が分からない、という企業にもおすすめできます。眞田様:あるいは、自社や他社のサーベイをやっている企業に、「セカンドオピニオン」として、という観点でもおすすめしたいです。我々も「表面的な課題は明らか」と思っていましたが、実際にやってみて「なるほど、今まで理解していなかった側面があった」という印象を持ったからです。——組織課題解決に取り組む方には、どのような心構えが必要だと感じますか。田中様:サーベイは、見えない課題を明るみに出すものなので、見たくない結果が多分に含まれていると思います。それに目を背けずに立ち向かう、鼻血が出るぐらいの覚悟が必要と思います。形だけにならずに、まずはそこに向き合う思いきりが必要でしょう。そして、サーベイは「手段」に過ぎないので、使い方次第では役に立たないものにもなるし、非常に役立つものにもなります。「これを入れたら良くなるだろう」ではなく、「うまく使うための覚悟」を持って取り組むことが大事だと思います。眞田様:まずは現状を生半可に理解するのではなく、正確に把握することが第一歩だと思います。正しい認識ができていないのに、有効な施策が打てるはずがないからです。そして、やるからには、まず人事部門が周りを巻き込み、「会社をより良くするためにこれをやるべきだ」という強い思いを持つことが必要です。【社長コメント】本質的な人的資本経営の推進に貢献する「データ」と「知見」を提供——提言ミーティングまで含めて、「組織インサイトサーベイ」の一連のプロジェクトを完了されました。太田様ご自身の視点から、この取り組みを通じて得られた新たな気づきや、今後の組織作りに役立つヒントがあればお聞かせください。太田社長:私の最大のミッションは、2025年からスタートした「中期経営計画2030」の着実な実行です。その中には、経営基盤の強化として「人的資本経営の推進」が掲げられており、重点的な取り組みとして「エンゲージメントの向上」や「従業員の能力の最大化」があります。この推進において、今回Unipos社にご協力いただいた「組織インサイトサーベイ」の取り組みは非常に貴重な情報や推進力になりました。これまで各メンバーも色々と思案し、表層的に分かる課題に対してはすでに対策を講じていたとは思います。しかし、今回のプロジェクトから得られたのは「表層的な組織課題の裏には、もっと奥深い構造的な課題がある」ということです。この構造的な課題にしっかり打ち手を打たないと根本的な解決にはならないということに、プロジェクトを通じて気づきました。また、ヒントとして得られたのは「課題メカニズム」です。今起こっている事象・表層的な組織課題・構造的な組織課題が、複雑かつ様々な形で絡み合い、相関し、現状となっている。このメカニズムを提示いただいたことで、我々がこれからどのような解決策を練るべきか方向性が見えたことが、最大のヒントだったと感じます。——従来の従業員アンケートと比較して、今回のサーベイにはどのような違いを感じられましたか。太田社長:従来のサーベイと比較するのは難しいところですが、特に感じたのは、歯に衣着せぬ率直な指摘をいただけた点です。人事課題や組織課題といったものは、婉曲に表現するとニュアンスが伝わりにくいものです。クライアントに対して言いにくい言葉もあっただろうと推測しますが、あえて厳しい目線で言っていただいたのではないかと感じています。サーベイ結果を見たときは「かなり課題は多いな」と自分たちの実情を再認識させられましたが、そこまで踏み込んでいただいた点は、非常に良かったと感じています。——今回の気づきやヒントを踏まえて、今後どのように組織を変化させたいとお考えですか。太田社長:今回のサーベイは、我々がこれから本質的な人的資本経営を推進していくための第一歩になりました。中期経営計画2030で目指すのは「皆が働きやすく、この会社でずっと働いていきたい」と思える会社にしていくことです。そのためには、この結果に真剣に取り組み、大小問わず、一つひとつ着実に解決策を積み重ねていかなければなりません。細かい部分も丁寧に、皆が「自分たちの会社はありたい姿に一歩一歩近づいている」という期待感を持てるようにしていきたいですね。中期経営計画2030の実現に向けた経営基盤強化の土台が「人的資本経営」にあると考えています。つまり、組織戦略と事業戦略は切っても切り離せないものです。これを軸にし、経営を進めてまいります。