(写真左から)日本ゼオン株式会社 研究開発本部 知的財産部 企画管理グループ 浅野祐太様、Unipos株式会社 カスタマーサクセス 園部洋奈、日本ゼオン株式会社 管理部 人事総務グループ 堀之内優衣様、同社 総合開発センター 複合材料研究所 所長 熊本拓朗様自動車用タイヤなどの合成ゴムや高機能樹脂の製造・開発を中心に事業を行う化学メーカーである日本ゼオン株式会社。神奈川県川崎市を拠点とする総合開発センターにて、2022年からUniposをご利用いただいています。全社的なエンゲージメント向上の取り組みの中、総合開発センターでは「承認実感の不足」「縦割り化」といった課題を抱えていましたが、Unipos導入後、承認やつながりの機会が増えているといいます。共に組織づくりに取り組んだUnipos社を「単なるベンダーではないパートナー」であると表現していただきましたが、どのような歩みがあったのでしょうか。総合開発センター 複合材料研究所にて所長を務める熊本拓朗様、運営チームメンバーである研究開発本部 知的財産部 企画管理グループ 浅野祐太様、管理部 人事総務グループ 堀之内優衣様にお話を伺いました。また、研究開発本部長 赤坂昌男様からもコメントをいただきました。※所属は取材当時(2024年7月)のもの。課題と導入背景——研究開発において必要な「ポジティブ」で「公正」な組織づくり——Uniposを導入する前の組織に対する課題感や、目指したい理想の組織について教えてください。熊本様:日本ゼオンは「大地の永遠と人類の繁栄に貢献する」という企業理念のもと、2030年へ向けた中期経営計画「STAGE30」を掲げています。2030年に目指す目標の一つには「新規事業売上高+600億円(2019年度比)」という高い目標があり、これらを達成するための要素として「従業員エンゲージメント向上」をテーマに組織づくりに注力しています。▲日本ゼオン株式会社 中期経営計画より引用(https://www.zeon.co.jp/company/plan/)私の感覚では、エンゲージメント向上に取り組むにあたって、大きく2つの課題があると捉えていました。1つ目は、よく耳にする声として「認めてもらえていない」と感じている従業員が多いこと。2つ目は、組織が縦割り・たこつぼ化しており、他の研究所や他部署に興味を持ちにくい環境になっていることでした。堀之内様:私は事務職ですが、他部署や研究所が何をしているかがあまり見えておらず、個人的な感覚として縦割りを感じていました。浅野様:私は前職が営業だったのですが、営業職と比べると、研究職は全員が情報発信を得意としているわけではないと感じます。また、スペシャリティが高く常に探求し続けなければいけない職種なので、どうしても他部署との接点や交流の時間も限られていると思います。熊本様:私は昔から、エンゲージメントの高い組織をつくる上で「ポジティブ」「公正」という2つの要素が必要であると考えています。特に研究職においては、新しい発想が飛び交う組織が理想であり、そのためには最初から否定しない・発言しやすい環境であることが大切です。また、私は複合材料研究所にて所長を務めており、人を評価する立場として、バイアスをかけず公正な土台をつくることを重んじています。特に研究職はすぐに成果が出る仕事ではなく、分かりやすい成果に繋がらないことも多々あります。その上でいかに公正な組織をつくるか、ということを常に考えていました。——そうした課題がある中で、2022年にUniposを導入いただきました。どのような期待があったのでしょうか。熊本様:前述した2つの課題を解決するには、目に見えていなかった行動に目を配り、小さな貢献を称賛・発信しあうことが必要と考えました。これに特化した新たな場として、Uniposを導入しました。導入にあたり他のサービスと比較したり、懸念事項を出したりもしましたが、「どんなことも不安要素は出そうと思えばいくらでも出てくる」「始めてみないとわからない」と考えました。Uniposに決めたのは、実績や解析力を持っていて、最もレスポンスが迅速かつ提案サポートが厚く、しっかり結果を解析できると感じたからです。成果——部署や研究所を超えた相互理解・承認につながり、アンケート結果も向上——Uniposを通じた取り組みの実行後、どのような変化がありましたか。浅野様:何人かに聞いて多かった意見は「Uniposは人を勇気づける効果がある」ということです。日々新たな研究開発をする中で、成果につながらないかもしれない、と不安になってしまうことも多い——しかし、そのような日々の仕事に対して称賛があると「やっていることは間違いじゃなかった」と思えるそうです。また、私が所属する知的財産部は、営業のように売上を出すわけでも、研究職のようにゼロから新しい価値をつくる仕事でもありません。他部署から見ても何をやっているか分かりにくく、評価されにくい。総合開発センター内ではリモートワークが多い部署で、自身の担当業務に集中することが多く、コミュニケーションや情報共有が円滑に進まずたこつぼ化しやすい環境でした。Uniposの良い点は、こうした環境下でも気軽にコミュニケーションをとれることです。例えば、Web会議後に「さっきのフォロー助かりました」「些細なところまで気を配っていただきありがとうございます」とお礼や感謝の投稿が飛び交い、非常に空気が軽くなりました。他部署との接点も確実に増えましたね。社内が可視化されるため、「この人と繋がったらより良い仕事ができそうだな」という気付きにもつながっています。熊本様:自分たち以外の研究所・部署の立場や考え方がわかり、相互理解につながっていると感じます。知財や総務など日常的に接点が少ない人たちの行動が可視化されることで、「他の人も頑張っているのだな」と思えるのではないでしょうか。拍手のやりとりがあるだけで、話したことがない人も、昔からの顔見知りのような気持ちになりますね。堀之内様:私は人事総務としてイベントを主催することがあり、参加者から感謝の投稿が届いたときは純粋にモチベーションが上がりました。また、あまり関わりがない人でも、Uniposを見ると人物像やパーソナリティがわかります。——投稿率(月に1回以上投稿したメンバーの割合)よりアクセス率を重視していると聞きました。それはなぜでしょうか。熊本様:アクセス率は、小さな称賛や良い行為に触れる機会の広がりを示していると考えています。投稿してくれる人は物事を発信することができており素晴らしいという前提のもと、声を出せる人だけでなく、他の人の投稿をのぞいたり拍手して称賛したりする人の増加——すなわちアクセス率の増加は、価値があることだと考えています。——その他の定量的な成果はいかがですか。熊本様:Uniposさんに手伝っていただき、導入前後で従業員アンケートをとりました。アンケートでは、「周囲の人から称賛を受けたか」と「周囲の人の行動を知りやすくなったか」の項目が明確に増加していました。私たちが重視したいのは、一人一人の従業員にどう影響しているのかということです。アンケートの数値が非常にポジティブに変化したことは、確実に成果といえます。浅野様:明確な数字では分かっていないものの、「離職率低減に効果があるのでは」というコメントもいくつかありましたね。——1on1や日々の振り返りなどに活きたことはありますか。熊本様:個人評価の際、数値化できる成果に対する評価はしやすいのですが、プロセス評価に対してはどうしても自分の目で見られる範囲が限られます。また、声が大きな人の行為が目立ってしまうため、プロセス評価における視野は狭くなっていたと思います。重視したいのは、成果につながらなくても行動した人です。Uniposによって、時間や場所に関係なく成果に直結しなかった行動も含めて可視化されるため、公正に個人をみることができると感じています。——マネジメントにも活用されているのですね。管理職がUniposを使う意義について、どうお考えですか。熊本様:個人的に、社員が働きやすい環境をつくることは、管理職として通常業務より優先すべきと考えています。その土台があってこそ良いアウトプットに繋がるのですから。また、Uniposを閲覧・投稿することが大変かと言われると、そんなことはないです。むしろ、Uniposを見て「みんな頑張っているな」と思えると、心なしか元気が出てきますね(笑)。Unipos社の支援——共に組織を良くしていくパートナーとしての関係性——検討フェーズから現在にわたって、組織コンサルタントやカスタマーサクセスを始めとするUnipos社の支援には、どのような価値を感じていただけましたか。浅野様:驚いたのは、組織コンサルタントの高橋さん・カスタマーサクセスの園部さんが作った定例ミーティングの資料に弊社の中期経営計画の内容が記載されており、弊社のありたい姿について事前に検討・把握されていたことです。いちITベンダーがここまで会社を理解しようと踏み込んで提案してくれるのは珍しいと感じました。単にツールを提供するだけではない、一緒に組織を良くしていくパートナーとして信頼関係を築いていけると思っています。堀之内様:私は契約関連でのやりとりが多く、レスポンスの速さには助かりました。何度も細かく連絡することがあったのですが、スピード感を持ってやりとりできる安心感がありました。熊本様:私はUniposさんの提案に対して色々と意見を言いましたが、意見を受容し柔軟に変えて再提案いただいたことは、嬉しく感じました。いつもこちらの立場に立って支援いただいている印象があります。また分析面では、組織風土に関わる指標は定性的な部分も多く、自分たちだけでは定量的なゴールを設定するのが困難でした。そんな中、定量的な指標を提案していただき、実際の数値出し・分析もサポートいただいたのは助かりました。——カルチャーという形のないものを変えるプロダクトを提供する上で、プロダクトの浸透ではなくお客様のカルチャー変革にゴールをおき、日々ご支援しています。そんな支援体制をご評価いただき嬉しく思います。最後に、今後の組織づくりに対する意気込みをお聞かせください。熊本様: ポジティブで公正な組織をつくるという目的の上で、Uniposはとても有効だと考えている一方、良くも悪くも一つのツールです。色々な施策と掛け合わせながら、より良い組織をつくっていきたいですね。研究開発本部長 赤坂昌男様からのコメント——研究開発本部での導入の決め手や、コストをかけてでも取り組むとお考えになった理由をお聞かせください。日本ゼオンでは、全社戦略の2030年のビジョンとして「社会の期待と社員の意欲に応える会社」を掲げています。まずは「社員の意欲」を高める仕組みづくりとして期待できるのではと導入の検討に入りました。また、2030年のビジョンを達成するために大切にすることとして「まずやってみよう・つながろう・磨き上げよう」を掲げています。研究開発本部では、総合開発センターの一部フリーアドレス化など、「つながる」ためのコミュニケーションの変革が必要だと考えています。時間/場所に縛られずに感謝を届けることができる・感謝を可視化できるUniposが研究開発本部に「つながろう」を広げることができると考え、導入に至りました。——研究開発本部全体を見られるお立場から、Uniposの取り組みの成果について、どのようにお考えですか。研究員同士のつながり機会の創出が大きいと思います。以前は、一研究所内や上司と部下ではコミュニケーションがとれていても、所属以外の研究所とのコミュニケーションをとる機会がないとの声がありました。研究開発本部では、「エンゲージメント向上」「つながり促進」を今後進めていくべき重点課題に定めています。「つながり促進」のツールとして、研究員同士の意外な交流を知ることができ、縦や横だけではなく斜めの関係を構築するきっかけになり、人との繋がりを通じて会社との繋がりも感じられるようになれると思います。——Uniposをご活用いただく中で、印象的なエピソードはございますか(社内での活用や影響、弊社とのやりとりなど)。Unipos導入前後で、「異なる研究所・チームの人柄・業務を新たに知る機会がない」のマイナス意見の回答数が減少しました。また、これは私自身が実際に経験したことですが、研究員が荷物を運んでいるときに手助けしたことがありました。その場でお礼を言われたのですが、その後Uniposでも「ありがとう」と感謝の言葉を頂きほっこりした気持ちになったのを覚えています。ちょっとした感謝の言葉でも嬉しくなるし、つながりを感じられるものだなと実感しました。Uniposを通じてこのような小さな感謝の積み重ねが大きな波となって、研究開発本部の「つながり促進」を大きく広げてくれるものと信じています。